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「吸血鬼・昂夜/監視員・碧」シリーズ 4話
本文は続きから
本文は続きから
散歩に出かけたい、と彼が云ったので、一緒に近所の公園まで出かけた。
監視員として、彼を監視しなければならないのだから、必然的に行くことになったのだが……
あまり外に出なかった為に、外の空気が新鮮に感じた。
「散歩、楽しいねぇ」
「お前、おじさん臭いぞ」
「まぁこう見えても僕、結構な歳だからね」
そう云いながら、公園へ。
暫く、他愛の無い会話を続けながら歩いて行くと、目的地に到着した。
ベンチに座り、公園に集まっている子供たちを見る。
「……あ」
「どうした?」
「ほら、何かを探しているみたいだよ?」
「……それがどうかしたのか?」
確かに、男の子が何かを探しているようだ。
話を盗み聞くと、どうやらボールを失くしたらしい。
「碧、あの子の探し物は見つかると思う?」
「さぁ?」
「見つかると良いね。失うのは、怖いから」
「怖い……?」
私は、彼の言葉を聞き返す。
一体、何が怖いのだろうか。
「怖いよ。失うのは。僕が、一番恐れていること。それは、喪失。何でだか解る?」
「解らない」
「即答だね……まぁ、良いけど」
そう云って、彼は話し始めた。
「僕は、沢山の物を失ってきた。仲間も、家族も……大事な人も。特に、大事な人は……ね。
大事な人を失ったとき、とても悲しかった。こんな思いになる位なら、もう大事な人なんか要らない。そう思った。
でも、時が過ぎれば、記憶も薄れていく。そしてまた、大事な人を見つける。……でもまた失う。記憶が薄れていく」
「…………それが喪失?」
「そう。色んなものを失うのが怖い。人も、記憶も。僕のせいで死んでいくのを見たくない」
「それは――」
吸血鬼だから仕方の無いことだ、そう云いたかった。
でも、そう云えない。
「あぁ、ほらあの子。探し物を見つけたみたいだよ?良かったね」
男の子は、ボールを失わずに見つけられたようだった。
彼は私の隣で、微笑んだ。
監視員として、彼を監視しなければならないのだから、必然的に行くことになったのだが……
あまり外に出なかった為に、外の空気が新鮮に感じた。
「散歩、楽しいねぇ」
「お前、おじさん臭いぞ」
「まぁこう見えても僕、結構な歳だからね」
そう云いながら、公園へ。
暫く、他愛の無い会話を続けながら歩いて行くと、目的地に到着した。
ベンチに座り、公園に集まっている子供たちを見る。
「……あ」
「どうした?」
「ほら、何かを探しているみたいだよ?」
「……それがどうかしたのか?」
確かに、男の子が何かを探しているようだ。
話を盗み聞くと、どうやらボールを失くしたらしい。
「碧、あの子の探し物は見つかると思う?」
「さぁ?」
「見つかると良いね。失うのは、怖いから」
「怖い……?」
私は、彼の言葉を聞き返す。
一体、何が怖いのだろうか。
「怖いよ。失うのは。僕が、一番恐れていること。それは、喪失。何でだか解る?」
「解らない」
「即答だね……まぁ、良いけど」
そう云って、彼は話し始めた。
「僕は、沢山の物を失ってきた。仲間も、家族も……大事な人も。特に、大事な人は……ね。
大事な人を失ったとき、とても悲しかった。こんな思いになる位なら、もう大事な人なんか要らない。そう思った。
でも、時が過ぎれば、記憶も薄れていく。そしてまた、大事な人を見つける。……でもまた失う。記憶が薄れていく」
「…………それが喪失?」
「そう。色んなものを失うのが怖い。人も、記憶も。僕のせいで死んでいくのを見たくない」
「それは――」
吸血鬼だから仕方の無いことだ、そう云いたかった。
でも、そう云えない。
「あぁ、ほらあの子。探し物を見つけたみたいだよ?良かったね」
男の子は、ボールを失わずに見つけられたようだった。
彼は私の隣で、微笑んだ。
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