忍者ブログ
オリジナル小説とか、二次創作とか
14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「吸血鬼・昂夜/監視員・碧」シリーズ 4話
本文は続きから
散歩に出かけたい、と彼が云ったので、一緒に近所の公園まで出かけた。
監視員として、彼を監視しなければならないのだから、必然的に行くことになったのだが……
あまり外に出なかった為に、外の空気が新鮮に感じた。

「散歩、楽しいねぇ」
「お前、おじさん臭いぞ」
「まぁこう見えても僕、結構な歳だからね」

そう云いながら、公園へ。
暫く、他愛の無い会話を続けながら歩いて行くと、目的地に到着した。
ベンチに座り、公園に集まっている子供たちを見る。

「……あ」
「どうした?」
「ほら、何かを探しているみたいだよ?」
「……それがどうかしたのか?」

確かに、男の子が何かを探しているようだ。
話を盗み聞くと、どうやらボールを失くしたらしい。

「碧、あの子の探し物は見つかると思う?」
「さぁ?」
「見つかると良いね。失うのは、怖いから」
「怖い……?」

私は、彼の言葉を聞き返す。
一体、何が怖いのだろうか。

「怖いよ。失うのは。僕が、一番恐れていること。それは、喪失。何でだか解る?」
「解らない」
「即答だね……まぁ、良いけど」

そう云って、彼は話し始めた。

「僕は、沢山の物を失ってきた。仲間も、家族も……大事な人も。特に、大事な人は……ね。
 大事な人を失ったとき、とても悲しかった。こんな思いになる位なら、もう大事な人なんか要らない。そう思った。
 でも、時が過ぎれば、記憶も薄れていく。そしてまた、大事な人を見つける。……でもまた失う。記憶が薄れていく」
「…………それが喪失?」
「そう。色んなものを失うのが怖い。人も、記憶も。僕のせいで死んでいくのを見たくない」
「それは――」

吸血鬼だから仕方の無いことだ、そう云いたかった。
でも、そう云えない。

「あぁ、ほらあの子。探し物を見つけたみたいだよ?良かったね」

男の子は、ボールを失わずに見つけられたようだった。
彼は私の隣で、微笑んだ。
PR
COMMENT FORM
NAME
TITLE
MAIL
URL
COMMENT
PASS secret
COMMENT
TRACKBACK
TB URL
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
HN:
千鳥
性別:
非公開
自己紹介:
良くも悪くもマイペースな管理人
今現在、受験生(であるはず…)
カイメイSNS・にゃっぽんでは「浜千鳥」と名乗っています


お礼SS×2
忍者ブログ / [PR]
/ JavaScript by Customize in Ninja Blog / Template by 小龍的徒話