2009/07/23 (Thu) 最果て

ボカロのSS　カイト視点
作中の「貴方」は、皆様の想像にお任せします
タイトルで察しがつくと思いますが、小林オニキスさんの素敵な曲「サイハテ」が題材です



本文は続きから

果ての果ての果ての果ての果ての果ての果ての果て……
気が遠くなるほど果ての果て。最果てへ……貴方は逝ってしまった。
僕では行くことができない、扉を開いて。

貴方は無事に、向こうへ辿りついたでしょうか？
もしも便りが此方に届くのであれば、地上に居る僕に手紙を寄こして欲しい。
……嗚呼、多分無理ですね。
貴方は筆不精だから、僕に手紙なんてくれませんよね。

でも、それでも。
僕はずっと貴方のことを思っていますから。
だからこの歌声も、祈りも、想いも、全部、全部、貴方に届いて欲しい。
聞いて欲しい。
……きっと届きますよね？
だって、空はこんなにも晴れているのですから。
必ず、届きますよね…？

火葬場で焼かれる貴方の体は、煙となって向こうへ逝ってしまう。
できるなら、雲となって雨になって僕の元へ戻って来て欲しい。
また、貴方に出会えると信じられれば、僕は少し救われるような気がします。
だから、戻って来て欲しい。


何にも無い僕の人生に、ほんの少し紅を添えてくれた貴方に感謝します。
僕にとって、たおやかな恋でした。

たおやかな恋でした。

「……さよなら」