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本文は続きから
監視員になれば、自由な時間を持つことが出来ない。
しかし、特別な能力を持つ限り、監視員にならなければならない。
自由な生活が出来ない。
監視員である自分自身が監視されている。
「…………はぁ」
「溜め息なんか吐いて……どうしたの?」
「何で、特別な能力を持って生まれて来たのだろう……そう思っただけだ」
私はぼーっとしたまま、どこでもないどこかを見ていた。
彼は不思議そうに私を見ている。
ちらと横目でそれを見ると、なんとなくまた溜め息を吐きたくなった。
「……はぁ」
「また溜め息だね」
「お前を見ていたら余計な」
相変わらず、不思議そうな目で彼は見ている。
が、暫くすると何か納得し、ほほえみ、私に話しかけてきた。
「碧は、自分の能力が無かった方が良いと思ってる?」
「……別に」
「図星?」
……図星だ。
私は何も言っていないが、彼は何処か納得した表情を浮かべる。
「碧は何の能力を持ってたんだっけ?」
「予知」
「あぁ、先のことが分かるアレね」
「そうだよ」
そのせいで、あまり良い思いをしたことが無いけど。
……思い出したくない。
そう云えば、彼はどうなんだろうか。
私みたいに、特別な能力があるわけではないが、彼は「吸血鬼」と云う種族なのだ。
私よりも不自由であるはず。
「……お前は、足枷だと思わないのか?」
「吸血鬼、て云う種族が?」
「あぁ」
「…………」
黙り込んでしまった。
彼にしては珍しい。
暫くして、何かを思い出しながら口を開いた。
「……思うよ。今まで、何度も何度も足枷だと感じた。何で僕が吸血鬼なんだろう、て」
「…………」
「僕は人間に生まれたかった」
「……それは」
不自由だからなのか。
それとも、別の理由があるのか。
その理由を聞きたかったが、これ以上詮索するのを止めた。
彼の足枷は、絶対に外れることが無いのだから。